川島知子プロフィール

1989/文化服装学院在学中にデザイナー、マーチャンダイザー志望などの友人達と『コア』設立。
ファッションとアートとの融合を目指し、美術大学の学生等と学校間の壁を取り払い、インスタレーション的なかたちでのショーを模索する。スポンサーを募る形でファッションショーのプロデューサー、生地メーカー、アパレルメーカー、デザイン会社など様々な人からの理解を得て、翌年開催。大きな反響を呼ぶ。

lifetree1990/現代のファッション(流行)のあり方への疑問を感じる中、衣作家の真砂三千代氏と出会う。
真砂氏率いる(有)アファにデザイナーとして入社、アジアの手織布について学ぶ。その後7年間アファにおいてクリエイティブワークを続ける中でアーティスト(画家)、クラフト作家、ミュージシャンなど様々な分野で独自の活動を続けている人々に出会い、大きな影響を受ける。
自分のライフスタイルと物創りの成り立ちについて考えるきっかけとなる。

1997/ファッション(流行)でも手作り作家物でもない新しい分野の開拓を目指し、手織布と草木染を基本としたブランド『プランツ』設立。

pro11998/竹のインスタレーションで著名な故草月流家元、勅使河原宏氏による監督作品(和歌山県熊野体験博参加作品)『スサノオのみこと』に米国で活躍する現代美術アーティスト、リーガパング氏のもと関わる。
衣装デザイン補佐、素材提案、生産管理等を担当。この時、各界の著名人、高橋睦朗氏(詩人)、小川真由実氏(女優)、高橋悠治氏(現代音楽家)、サルドノ.W.クスモ氏(現代舞踏家)等と直に関わり多くのことを学ぶ。
*リーガパング氏….現代美術家としてアメリカを拠点に活躍。ロサンゼルス美術館(アメリカ)、国際芸術センター(フランス)、セゾン美術館(日本)など多数の個展を開催している。

同年、葉山芸術祭で初個展開催。

1999/ギャラリーMUU(東京)にて作品展を開催。

2000/アジアの手織布での着物を企画、ギャラリーニレイ(川崎)で発表。

2001/『クラフトマンズヨコハマ』に参加。同年より年2回横浜高島屋にて展示販売。

2005/『ROOMS11』に出展。

2006/『IFFクリエーターズビレッジ』に出展。

2008〜2012/プランツ数寄屋橋「MOSAIC銀座阪急店」オープン

2012/鎌倉扇が谷にてプランツ鎌倉店オープンTomoko_photo

プランツ設立より東京を始めとする全国各地にて展示会多数開催。現在に至る。

神奈川県横須賀市在住。2児の母でもあり、環境への負荷と現代における物創りについて模索しつつ、最終的に『土に還れる服』作りを続け幅広い年齢層からの支持を受けている。
 
 

『布のこと、洋服のこと』

image1自然素材が好き。絹、麻、コットン、ウール。ナチュラルな素材はこころを柔らかくしてくれる。ポリエステル、ナイロン、フリース、etc. 世の中にこんなに溢れていて実は、シワにもならず、洗濯機でも洗え、色褪せもあまりしないというこの便利なものにあまり魅力を感じないのは何故なんだろう?と最近、真剣に考えている。たぶん私は「シワ」も「色褪せ」も好きなのだ。なんだか生きてる証拠みたいで、、、。
何千年もの昔から、人は布を織り着るものを作って生きてきた。糸の紡ぎ方や布の織り方。そして、繭を採取することや棉や植物の繊維で糸をつくり出すことにいたるまで。植物を煮出した液につけてみたり、鳥の羽根を飾ったり、きっとそんな作業が営々と受け継がれながら続いているのだろう。私が好んで普段から染めたり洋服にしたりしているインドの布は、そんな事を私に感じさせてくれる。
image0とりわけ、タッサーシルクはサラッとしていて、一見麻にも思えるようなシルクで、染色していない薄茶色のその布は土と太陽と風のにおいのする果てしない自然を感じさせてくれる。不思議な「張り」と「しなやかさ」。相反するものを合わせ持つこの布は、服というカタチになって独特の味を醸し出してくれる。
そう、人と出会うように布とも出会うのだ。そして、何度も対話をしてカタチになっていく。大袈裟なデザインは何もいらない。それだけでもう充分素敵だから。そう自分に言いきかせながら・・・それでも植物染料で色を加えたり、心弾ませて刺繍やアップリケをして現代という時代に生きる洋服をつくる。
着ているときに風を感じられるような服。軽やかで柔軟で、どこからやって来たのかどこまで行くのか。でもずっとどこまでも続いている、そんな洋服を作っていきたい。

Plants 川島知子